メールやLINEで受けた注文は、いつ契約になるのか。
工事の請負と、自社の規約の書き方。
先に書きます。一般の決まりは民法 第522条で、契約は申込みに対して相手方が承諾をしたときに成立し、法令に特別の定めがある場合を除き、書面などの方式は要らないとされています。小さな工事店や修理の店が確かめておきたいのは、その「特別の定め」の側です。
- 工事の請負は、書面の決まりがある:建設業法 第19条は、建設工事の請負契約で、工事内容や請負代金の額などを書面に書いて、署名か記名押印をして互いに交付するよう求めています。書面に代えて電子の方法でするなら、相手方の承諾を得たうえで、国土交通省令で定める方法による、としています(第3項)
- いつ成立とするかを、自社の規約や見積書に書いておく:メールやLINEで注文を受けることがあるなら、どの時点で契約とするかを、先に書いておく形があります。当方の利用規約は、成立の時点を2つ書いています(Step 04)
あなたのやりとりで契約が成立しているか、自社の工事が建設業法の請負契約に当たるかは、当サイトでは判断しません。ここに置くのは、条文の原文と、規約の書き方の例、やりとりを残す順番までです。
手元のやりとりに、何が残っているか
条文を読む前に、お客さんとのあいだでいま手元に残っているものを並べます。工事の請負かどうか、何をいつ送り、何がいつ返ってきたかで、見る条文が変わるからです。
自分で見比べる順番
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頼まれたのは工事か
使うもの:見積書の内容建物や設備の工事を請け負うものか、物を売るだけ・点検や清掃だけのものかを書き出します。
▸ 工事を請け負うもの → Step 02 の建設業法 第19条の原文を読みます。自社の工事がこれに当たるかは、当サイトでは判断しません
▸ 工事ではない → Step 03 へ -
見積書を、何で送ったか
使うもの:送った見積書の控え・送ったメールやLINEの画面紙で渡したか、PDFにしてメールで送ったか、LINEに写真で送ったかを書き出します。見積書に、日付・番号・工事や作業の内容・金額・有効期限が書いてあるかも見ます。
▸ 書いてある → 次の確かめへ
▸ 内容や金額が見積書に無く、口頭や電話で伝えただけ → 「どの内容への返事か」を後から示しにくい形です。Step 03 の第522条の「契約の内容を示して」と見比べます -
返事の文面と、届いた日時
使うもの:受け取ったメール・LINEの画面「お願いします」の前後に、どの見積もりへの返事か(日付・番号・金額)が書かれているか、返事がいつ届いたかを書き出します。
▸ どの見積もりへの返事か分かる → Step 04 へ
▸ スタンプだけ・「了解です」だけ → 条文には、スタンプが承諾に当たるかは書かれていません。よくある質問の3問目へ
工事の請負には、どんな書面の決まりがあるのか(原文)
第1項:「建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。」
第3項:「建設工事の請負契約の当事者は、前二項の規定による措置に代えて、政令で定めるところにより、当該契約の相手方の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて、当該各項の規定による措置に準ずるものとして国土交通省令で定めるものを講ずることができる。」
第1項は、続けて「工事内容」「請負代金の額」「工事着手の時期及び工事完成の時期」など、書面に書く事項を並べています。条文が求めているのは、契約を結ぶときに、決まった事項を書面に書いて互いに渡すことで、電子の方法に代えるなら相手方の承諾を得たうえで省令の方法による、ということです。書面が無いときに契約がどうなるかは、この条文には書かれていません。
※ 出典=建設業法(昭和二十四年法律第百号・e-Gov 法令検索)。2026年10月10日 に確認。自社の工事が建設工事の請負契約に当たるか、自社のやり方が第3項の方法に当たるかは、当サイトでは判断しません。
同じ第19条は、協力会社(下請け)に工事を頼むときの契約にもかかります。協力会社を募るページを置くときに確かめることは、「ホームページに『協力会社募集』を載せる前に」にまとめています。
契約の前に(求められたら)渡す見積書の中身(材料費・労務費などの内訳と、工程ごとの日数)は、同じ建設業法の第20条が書いています。「塗装店が『お見積もり無料』と書くとき、見積書の内訳をどうするか」にまとめています。
このほか、工事の代金の支払いをほかの人に保証してもらう約束(保証契約)は、書面(または電磁的記録)でしなければ効力を生じない、と民法 第446条 第2項・第3項が定めています。
一般の契約は、いつ成立するのか(原文)
「契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。」
「2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。」
「意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。」
※ 出典=民法(明治二十九年法律第八十九号・e-Gov 法令検索)。2026年10月10日 に確認。
条文が「申込み」と呼んでいるのは契約の内容を示して申し入れる意思表示です。見積書が条文の「申込み」に当たるのか、お客さんの「お願いします」が「申込み」なのか「承諾」なのかは、やりとりの中身で変わりえます。当サイトでは判断しません。
自社の規約や見積書に、成立の時点をどう書くのか
メールやLINEで注文を受けることがあるなら、どの時点で契約とするかを、先に書いておく形があります。例として、当方の利用規約第2条は、契約が成立する時点を次の2つとしています。
- お客様が当方の見積書・仕様書に同意し、所定の契約書にご署名いただいた時点
- お客様からの発注意思表示(メール・LINE等)に当方が承諾の返信をした時点
これは当方(ホームページの制作)の決め方で、工事の請負に同じ書き方で足りるかは別の話です。工事の請負なら、Step 02 の建設業法 第19条の書面の決まりと並べて考えることになります。
自社の書類で見比べる順番
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規約・約款・見積書に、成立の時点が書いてあるか
使うもの:自社の規約や約款・見積書のひな形・ホームページの料金や流れのページ「いつ契約になるか」「メールやLINEの注文をどう扱うか」が書かれているかを探します。
▸ 書いてある → 次の確かめへ
▸ 書いていない → 書くかどうか、どう書くかは、Step 06 の相談先と決めます。当サイトでは文面の当否は判断しません -
注文を受けたときに、こちらから何を返しているか
使うもの:お客さんに送った返事の控え・フォームの自動返信の文「承りました」と返しているか、そのとき見積書の日付・番号・金額を書いているかを見ます。
▸ 書いている → 次の確かめへ
▸ 書いていない → 返事の文に見積書の日付・番号を入れる、という形があります(当サイトの例です) -
工事なら、書面(または相手の承諾を得た電子の方法)を交わしているか
使うもの:契約書や注文書・注文請書の控え工事内容・請負代金の額・着工と完成の時期などが書かれた書面を、互いに渡しているかを見ます。
▸ 自社のやり方が建設業法 第19条に合っているかは、当サイトでは判断しません。Step 06 の窓口に確かめてください
メールやLINEの記録は、法律でどう書かれているか(原文)
「電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。」
※ 出典=電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号・e-Gov 法令検索)。2026年10月10日 に確認。「電子署名」の意味は第2条に書かれています。
この条文が「真正に成立したものと推定する」としているのは、本人による電子署名が行われている電子の記録です。ふだんのメールやLINEのやりとりに、この条文の電子署名が行われているかは、使っている仕組みで変わりえます。当サイトでは判断しません。
手元でできるのは、Step 01 で並べたものを消さずに残しておくことです。取引の記録をどう保存するかの決まりは電子帳簿保存法の記事に、契約書に印紙が要るかは契約書と収入印紙の記事にまとめています。
どこから先は、誰に聞けばいいか
| 自分でやる | 聞いたほうがいい |
|---|---|
| 見積書と返事のやりとりを並べる(Step 01) | 自分のやりとりで契約が成立しているか・相手が取りやめたいと言ってきたときの扱い(弁護士・法テラスなど) |
| 規約・見積書に成立の時点が書いてあるかを見る(Step 04) | 規約や約款の文面をどう書くか(弁護士など) |
| 工事の書面を交わしているかを見る | 建設工事の請負契約の書面の交付や、電子の方法に代えるやり方(建設業の許可の窓口=都道府県・国土交通省の地方整備局など) |
見積書や契約書のどこを見るかは、契約の前に確認する5つにまとめています。
IZANAに頼む場合、契約はどう交わすのか
当方の契約の成立の時点は、Step 04 に書いた利用規約第2条のとおりです。進め方は制作の流れのとおりで、見積書の内容にご納得いただけたら、制作業務委託契約書を交わし、着手金(制作費の50%)のお振込みを確認してから制作を始めます。当方の契約が法律上どう扱われるかを含め、法律の判断は当方ではいたしません。
| 頼めること | やること | 費用(税抜) |
|---|---|---|
| 無料診断 | サイトのアドレスから4項目(問い合わせへの動線・伝わり方・プロ感・検索とGoogleマップでの見つかり方)を読み、まず直すところ3つをPDFでお返しします | 0円 |
| 1枚のページ | 1ページで伝え切る形 | 30万円〜 |
| 最大5ページ構成 | 会社概要・問い合わせを分けて置ける形 | 50万円〜 |
| 最大10ページ構成 | 仕事の種類ごとのページまで分けて載せる形 | 80万円〜 |
※ 金額は料金ページが正本です。サイトは買い切りです(月額の制作費はいただきません)。サーバーとドメインの実費は別途かかります。
よくある質問
メールによる契約は、法的に有効ですか?
自分のやりとりが有効かは、当サイトでは判断しません。民法 第522条 第2項は「契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。」と定めています。工事の請負は、この「法令に特別の定め」の側に、建設業法 第19条の書面の決まりがあります(Step 02)。
メールはエビデンス(証拠)になりますか?
当サイトでは判断しません。電子署名法 第3条は、本人による電子署名が行われている電子の記録について「真正に成立したものと推定する」と定めています。ふだんのメールやLINEにこの電子署名が行われているかは、使っている仕組みで変わりえます。手元でできるのは、やりとりを消さずに、日時と相手の名前が見える形で残しておくことです。
LINEのスタンプだけの返事でも、成立しますか?
当サイトでは判断しません。民法 第522条 第1項が書いているのは、申込みに対して相手方が「承諾をしたとき」に成立する、というところまでです。スタンプが承諾に当たるかは、この記事で引いた条文には書かれていません。迷うときは、どの見積もりの内容で進めるかを文で返して、相手の返事をもらっておくのが、こちらでできることです。
工事なら、メールのやりとりだけで足りますか?
当サイトでは判断しません。建設業法 第19条 第1項は、建設工事の請負契約の当事者に、工事内容や請負代金の額などを書面に書いて、署名か記名押印をして互いに交付することを求めています。第3項は、相手方の承諾を得て、国土交通省令で定める情報通信の技術を使う方法に代えることもできる、としています。自社のやり方がこれに当たるかは、建設業の許可の窓口(都道府県・国土交通省の地方整備局など)に確かめてください。
見積書に有効期限を書くのは、意味がありますか?
民法 第523条は「承諾の期間を定めてした申込みは、撤回することができない。」と定め、第2項で「申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。」としています。自社の見積書が条文の「申込み」に当たるかは、当サイトでは判断しません。
出どころ(2026年10月10日 に原文を確認)
見積もりから契約までの流れを、
サイトにどう書くか迷ったら。
ホームページのアドレスを1つ送っていただければ、問い合わせへの動線を含む4項目を読み、まず直すところ3つをPDFでお返しします。毎月5社まで・費用はかかりません。